昨日は恐怖指数(VIX)についてご紹介しました。これに関連してもう一つ、株式市場の心理状態を把握できる指標をご紹介したいと思います。
Fear&Greed Indexとは?
株式市場を動かす大きな要因の一つに「投資家の心理」があります。株価は企業業績や経済指標だけではなく、「市場参加者(投資家)がどれだけ楽観的か、悲観的か」でも大きく動くことがあります。そんな心理を数値化して1つの指標にしたものがCNN(米国ニュースチャンネル)が公開しているFear&Greed Indexです。

本記事では、Fear&Greed Indexの仕組み・見方・VIXとの違い・活用方法について書いていきたいと思います。
Fear&Greed Indexの基本
Fear&Greed Indexは、0から100の数値で示されます。
- 0に近いほど「恐怖」(Fear):投資家が悲観的で株を売りたい心理が強い
- 100に近いほど「強欲」(Greed):投資家が強気で株を買いたい心理が強い
一般的な目安は以下の通りになります。
- 0〜25:極度の恐怖(Extreme Fear)
- 25〜50:恐怖(Fear)
- 50〜75:中立(Neutral)
- 50〜75:強欲(Greed)
- 75〜100:極度の強欲(Extreme Greed)
どんな要素で算出されているか?
Fear&Greed Indexは、7つの市場データから算出されています。
- 株価のモメンタム(勢い)
- 株価指数(S&P500)が200日移動平均線を上回っているか
- 移動平均線=過去一定期間の株価を平均した線。株価のトレンドを判断する指標。
- 株価強度
- NY証券取引所で年初来高値を更新した銘柄数と安値を更新した銘柄数の比率
- 株価幅
- 上昇銘柄と下落株価の出来高(取引量)の差
- プット・コール比率
- 株を売る権利(プット)と買う権利(コール)の取引比率
- この比率が高いと「下落する可能性が高い」=恐怖が優勢
- ジャンク債需要
- ハイリスク債券(ジャンク債)と安全な国債の利回り差
- 差が小さいと投資家はリスクをとっている=強欲
- 市場ボラティリティ
- 恐怖指数(VIX)の水準
- 安全資産需要
- 株式と国債のリターンを比較
- 国債が買われやすければ恐怖、株式が買われやすければ強欲
以上を総合して恐怖〜強欲を数値化しています。
Fear&Greed Indexの見方
投資家心理を測るためのツールであるため、逆張りの参考指標としてよく使われます。
- 極度の恐怖(25以下)
- 多くの投資家が恐怖に陥り、株式を売っている状態。買い場のサインになる場合あり。
- 極度の強欲(75以上)
- 投資家が過度に強気。バブル的な高値圏のサインになる場合あり。弾けたら・・・
ただし、Fear&Greed Indexが低いからすぐ買いであると判断するのではなく、あくまで自身の判断の補助的な材料として扱うことがポイントです。
Fear&Greed IndexとVIXの違い・棲み分け
Fear&Greed Indexと並んでよく紹介されるのが、恐怖指数(VIX)です。両者は似ていますが、以下の違いがあります。
カバー範囲の違い
- Fear&Greed Index
- 複数の市場データ(株価モメンタム、プットコール比率、ジャンク債需要など)を組み合わせた「総合指標」
- VIX
- S&P500のオプション市場から算出される「将来30日の予想ボラティリティ」
利用シーンの違い
- Fear&Greed Index
- 市場全体の「投資家心理」を測りたい時に有効。中期的な参考にできる。
- VIX
- 短期的なリスクや急落の可能性を測りたい時に有効。短期トレードやリスク管理の参考にできる。
時間軸の違い
- Fear&Greed Index
- 市場全体の雰囲気を把握する温度計。広く浅く投資家心理を測るイメージ
- VIX
- 直近の不安度を測る体温計。狭く深く投資家心理を測るイメージ
具体的な活用例
長期投資家の場合
- Fear&Greed Indexが極度の恐怖(VIXが25以下)の時に少しずつ買い増す
- 高すぎる時は一気に買わず、慎重に積み立てを続ける
短期投資家の場合
- 極度の強欲状態(VIXが75以上)の時に「利益確定」を検討
- 恐怖側に傾いている時は「安値拾い」を検討
- VIXが急上昇している時、短期トレーダーはポジション縮小やヘッジを検討
注意点と落とし穴
- 万能ではない
- 万能だったら、誰も苦労していません笑 投資家心理を示しているだけで合って、未来の株価を保証するものではない
- 一時的に偏りが発生することがある
- 地政学リスクや大統領選があるなど、特別な要因で長期間「恐怖」「強欲」の状態が継続する場合がある
- 短期トレードより中長期の参考とする方が良い
- 日々の変動に一喜一憂するのではなく、トレンドや他の指標と組み合わせることで、より良い検討ができる
ひざきはどうしてるの?
私は、VTIをコアに長期投資とAIや漁師関連の個別株をやっていますが、長期投資をやる上では、VIXやFear&Greed Indexは気にしていません(記事にしといて何言ってるんじゃ笑)。トレンドを意識して買うより、淡々と毎月同じ日に同額積立していくことが最終的に1番リターンが大きくなると思っているからです。
一方で、個別株ではちょーっと活用しています。株式市場の動向を掴んでおくことで、自分の資産を守ることが出来るので、例えば、株式市場に大きく影響を与えそうなニュースが出た時は毎日確認して、もうすぐ暴落しそうだから、個別株のポジション落とそうとか、ちょっと利確しておこうとか、今買うのはやめておこうなんて思ったりすることがあります。
まとめ
- Fear&Greed Indexは投資家心理を数値化した便利な指標である
- 極度の恐怖時は買い場、強度な強欲時は警戒または売りサインになりやすい
- VIXは短期的なリスク管理には有効で、Fear&Greed Indexより狭く深く市場心理を測ることができる
- 万能ではなく、Fear&Greed Index+VIXなど複数組み合わせて自身の行動を決める
投資は感情に流されたら負けます。株価がめちゃ上がっていて、他の人の収益報告を見ただけで、自分も波に乗って稼ごうとしたら、その瞬間から暴落が起こったりなど。今回の記事でご紹介した指標を参考に理論的に投資が出来れば、少し成績が上がるかも知れません。
最後になりますが、投資判断は自己責任でお願いいたします。
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