米国株投資の中でも人気が高いのが「高配当ETF」です。その中でも日本の投資家から特に注目されているのが SPYD(SPDRポートフォリオS&P500高配当株式ETF)、VYM(バンガード米国高配当株式ETF)、HDV(iシェアーズ・コア米国高配当株ETF) の3本です。いずれも四半期ごとに分配金を出す仕組みですが、構成銘柄や運用方針には大きな違いがあります。本記事では、それぞれの特徴を整理し、投資目的に応じた選び方を解説します。
基本情報の比較
まずは3つのETFの基本情報を表にまとめます。
項目 | SPYD | VYM | HDV |
---|---|---|---|
運用会社 | State Street | Vanguard | BlackRock |
設定年 | 2015年 | 2006年 | 2011年 |
経費率 | 0.07% | 0.06% | 0.08% |
保有銘柄数 | 約80銘柄 | 約400銘柄 | 約75銘柄 |
インデックス | S&P500高配当株式指数 | FTSE高配当利回り指数 | Morningstar配当フォーカス指数 |
分配頻度 | 四半期ごと | 四半期ごと | 四半期ごと |
直近利回り | 約4.33% | 約2.5% | 約3.3% |
SPYDの特徴:高利回りだが景気に弱い
SPYDは、S&P500構成銘柄の中から高配当の80銘柄を「均等比率」で組み入れるのが最大の特徴です。したがって、どの銘柄もほぼ同じ比率で保有されます。結果として、金融・不動産・エネルギーといった景気敏感株の比率が高くなり、分配金利回りは高いが株価変動リスクも大きいという性質を持ちます。
特にコロナショックの際には株価下落幅が大きく、回復にも時間がかかりました。その分、配当利回りは4〜5%台と高水準を維持しており、「キャッシュフロー重視の投資家」に向いているETFです。
VYMの特徴:安定と分散性の高さ
VYMは、米国の高配当株を約400銘柄に分散して保有しています。銘柄数が多く、セクター偏りも少ないため、安定感が最も高い高配当ETFといえるでしょう。
構成銘柄には、ジョンソン&ジョンソン(JNJ)、プロクター&ギャンブル(PG)、JPモルガン(JPM)など、生活必需品や金融といった大型株が多く含まれています。分配金利回りは3%台とやや低めですが、株価の成長性も期待できるため、「長期で安定した資産形成」を目指す投資家に適しています。
HDVの特徴:財務健全性を重視
HDVは、モーニングスター社の財務スクリーニングを通過した企業だけを組み入れるというルールがあります。そのため、エクソンモービル(XOM)、シェブロン(CVX)、ベライゾン(VZ)など、エネルギーや通信といった「配当の持続性が高い企業」が中心です。
一方で、銘柄数は約75と少なく、セクター偏りも大きいのが弱点です。特に原油価格の変動によってエネルギー株が大きく動くため、パフォーマンスはその影響を受けやすいです。それでも、配当の安定性と持続性を重視したい投資家にとっては有力な選択肢となります。
どれを選ぶべきか?
- 配当利回りを最重視するならSPYD
高配当株に均等投資するため、利回りは最も高い。ただし景気後退時の値下がりには要注意。 - 安定と分散を求めるならVYM
銘柄数が多く、長期で持ちやすい。利回りはやや低いが、トータルリターンは安定。 - 持続的な配当を重視するならHDV
財務健全性フィルターにより、減配リスクが低い。エネルギー比率が高い点は好みが分かれる。
まとめ
SPYD・VYM・HDVは一見似たように見えますが、投資戦略は大きく異なります。
- SPYD:利回り最大化、リスク高め
- VYM:分散と安定、王道の高配当ETF
- HDV:持続可能な配当、セクター集中
もし「毎月のキャッシュフローを増やしたい」ならSPYD、「長期で安定した資産形成」ならVYM、「減配リスクを抑えたい」ならHDVという選び方がおすすめです。
最終的には、自分の投資目的とリスク許容度に合わせてポートフォリオを組むことが重要です。高配当ETFは分配金を楽しみながら長期投資できる点が魅力ですので、うまく組み合わせて活用してみてください。
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