はじめに
株式投資をしていると「株価が希薄化する」という言葉を耳にすることがあります。最近では、SOFIの株価が希薄化したと聞きます。これは企業が新しい株式を発行することで、既存株主が持つ1株あたりの価値が相対的に下がることを指します。投資判断に大きな影響を与える重要な言葉ですので、本記事では、株価希薄化の仕組みと影響、実際のSOFIの事例を交えて解説します。
株価希薄化とは?
株価希薄化(ダイリューション)とは、新株の発行によって市場に出回る株式数が増加することで、既存株主の持分(1株あたり利益・権利)が薄まる現象です。
- 新株発行前:株式数1000万株、純利益10億円とすれば、1株あたりの利益(EPS)は100円
- 新株発行後:1000万株発行、株式数2000万株、純利益10億円とすれば、EPSは50円
このように、会社の利益が同じでも株式数が増えることで「1株あたりの利益」が減少します。
株価希薄化が起きるケース
株価希薄化がさまざまな理由で起こります。代表的なものは以下になります。
- 新株発行(増資)
- 企業が資金調達のために新しい株を発行する
- 成長投資や債務返済に使われることが多い
- 投資家にとっては「資金調達=将来の成長」につながるプラスの側面あり
- ストックオプション
- 役員や従業員に付与される株式報酬
- 優秀な人材確保の手段だが、株式数が増えると既存株主の持分が下がり、株主から反発を受ける可能性あり
- 転換社債・新株予約権付社債
- 社債が株主に転換されると発行済み株数が増える
- 借金を株式で返すイメージ
良い側面や悪い側面もあり、これを見抜くことが大事です。
投資家にとっての影響
株価希薄化は必ずしも悪いことではありません。ポイントは「調達資金が有効に使われるかどうか」です。
- ポジティブ面
- 調達した資金で新事業を立ち上げ、大きな利益を生む
- 1株あたりの利益を減少させた分を上回る株価上昇が起こる可能性あり
- ネガティブ面
- 借金返済や赤字補填のためだけに株を増やす
- 将来の成長が乏しく、株価下落要因になりやすい
投資家は「発行目的」と「調達資金の使い道」に注目する必要があります。
実際の事例
- テスラ(TESLA)
- 2020年に複数回の増資を実施。短期的に株価希薄化の懸念があったものの、調達資金で工場建設や生産拡大を進め、結果的には大きく上昇。
- ソーファイ(SOFI)
- 2025年に15億ドル規模の新株を市場に放出することで、資金調達を目指しました。この発表を受けて株価は短期的に8.7%下落。これが吉と出るか凶と出るか。今後のSOFIの運命を握るかのような勝負です。
投資家がチェックするべき指標
- EPS(1株あたり利益):増資後にどの程度希薄化するかを確認
- 資金用途:さらなる企業成長のためなのか、借金返済のためなのか
まとめ
株式希薄化は「株式数が増えて1株あたりの価値が薄まる」ことです。しかし、それが成長のための一時的な痛みであるなら、株主にとっては最終的に大きなプラスになる場合があります。投資家としては、「株式発行目的」「EPSへの影響」「将来の成長余地」を見極めることが非常に重要です。私は、SOFIホルダーですが、将来の成長余地があるとみて買い増す方向で検討中です。
※あくまで個人の見解です。投資の判断はご自分の判断で行なってください。
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