はじめに
MVSTことMicrovast Holdings, Inc. は、セル材料(カソード・アノード・電解液・セパレータ)からモジュール/パック、ESSまで内製する「垂直統合」が特色のバッテリーメーカーです。用途は輸送(商用車・建機・特殊車両)とエネルギー貯蔵庫(ESS)の2つです。公式サイトにおいて、研究開発から生産まで一気通貫で手掛けると明記されています。
会社の基本情報
- 企業名:Microvast Holdings, Inc. (NASDAQ : MVST)
- 本社:アメリカ テキサス州 スタッフォード
- コア事業:輸送向けバッテリー
- 強み:垂直統合(製造過程の最初から最後までを自社で行うこと、外注しない)
なぜ「垂直統合」が効くのか
- 品質・安全性の向上:材料から製品が完成するまでの工程を全て自社で制御出来るため、製品寿命・安全性・効率・出力のチューニングすることが容易。
- コスト:量産段階において、外注しなければ粗利率の改善に寄与する。実績面でも後述の通り、改善が進行。
直近の業績
- 2024年通期売上:$379.8M (前年比+23.9%)
- 通期粗利率:31.5%(前年18.7%→+12.8pt)、Q4粗利率36.6%
- Q4売上:$113.4M(+8.4%)
- 受注残:$401.3M = まだまだ伸び代大
- 2025年見通し:売上$450-$475M(前年比+18〜25%)、粗利率目標30%
通期では赤字が続いていますが、粗利率の持続的改善と売上成長は進んでいる。受注残がたくさんあるため、これからどんどん伸びていくのでは?と感じます。
カタリスト:新製品「ME6」
およそ6mのコンテナに6MWhを搭載し、IP55体制、火災予防のための窒素保護が成されたバッテリーを発表しており、UL認証(米国系の第三者安全認証のこと、安全性確認・品質担保確認)の獲得に挑戦中です。上手くいけば、さらなる飛躍が見込めると思われます。
リスクと留意点
- 資金繰り、継続性:通期赤字が続く中で、運転資金や投資のバランス管理が重要
- 生産移管の確実性:米国拠点の集約や体制変更に伴う短期リスク
競合とポジショニング
CATL、BYD、Gotion、EVE、TeslaMegapackなどの大手が並ぶ荒波の分野。この中でも垂直統合をしているのがMicrovastの強み。
投資を行う上でのチェックリスト
- 粗利率30%台の定着
- 受注残の消化速度(2025年度決算への売上転換)
- ME6の案件
まとめ
Microvast(MVST)は、垂直統合を武器とするバッテリーメーカーです。2024年は売上の成長と粗利率改善が確認でき、2025年も+18〜25%の成長ガイダンスを掲げています。一方で、赤字継続リスクが怖いですね。受注残の確実な消化、粗利率維持が中長期で上げていけるかが今後の株価上昇へのキーポイントになりそうです。
コメント