はじめに
最近、米国インフラ関連の成長企業として個人的に注目しているのが Sterling Infrastructure, Inc.(ティッカー:STRL) です。
データセンター、eコマース・流通施設、道路・橋梁などの公共/民間インフラ、建築基礎工事など幅広い分野で事業を展開しており、特に e‐インフラ(E-Infrastructure) 分野での受注とバックログ(契約残高)の拡大が私の関心を引いています。
この記事では、STRLの会社概要・業績・成長要因・投資リスクを整理し、「投資対象としてどうか」を考察します。
会社概要と事業内容
- 会社名:Sterling Infrastructure, Inc.
- ティッカー:STRL(NASDAQ)
- 設立年:1955年
- 本社所在地:テキサス州 The Woodlands
- 従業員数:約 3,000人
事業セグメント
STRL の事業は大きく3つのセグメントに分かれています。
セグメント | 内容 |
---|---|
E-Infrastructure Solutions | データセンター、倉庫、eコマース系施設の敷地造成、サイトインフラ整備(電力・電線・通信・水道・排水等)など。 |
Transportation Solutions | 道路・高速道路・橋梁・空港・港湾・鉄道など公共交通・輸送インフラの建設・補修。 |
Building Solutions | 住宅/集合住宅の基礎・コンクリート基盤、駐車構造物等の商業・住宅建築のための土木基礎工事。 |
最新業績・ファイナンス概要
- 市場時価総額:約 106億ドル(2025年時点)
- 売上(過去12か月):約 21億ドル
- 純利益(過去12か月):約 2.85億ドル
- EPS(過去12か月):9.21ドル前後
- PER(株価収益率):約 37.8倍
- Forward PER:予想ベースで約35倍
- 株価の範囲(52週間):最低 約96ドル ~ 最高 約351ドル
- アナリスト評価:強気(Strong Buy)が多く、目標株価はおおよそ355ドル前後
成長を支えるポイント(強み)
STRLが注目される理由は以下の通りです。
- 強いバックログ(契約残高)
受注残高が前年同期比で大幅に拡大しており、将来収益の見通しが比較的明るい。 - インフラ・e‐インフラ需要の追い風
データセンター、eコマース物流、EV関連インフラなどの投資が進んでおり、E-Infrastructure部門の案件増加に直結している。政府のインフラ投資政策も追い風。 - 収益性の改善
粗利益率やマージンの改善が進んでおり、効率化・コスト管理の成果が見られる。
キャッシュフローも改善している。 - 分散された事業構造
建築基礎、公共インフラ、e-Infrastructure と複数セグメントを持ち、景気変動に対してリスク分散が効く構造。
リスクと注意点
もちろん、良い面だけではなく投資を考える上でのリスクも存在します。
リスク要因 | 内容 |
---|---|
バリュエーションの高さ | 現在のPERは建設業界の平均より高く、成長期待を織り込んでいる可能性がある。 |
景気循環性 | 建設・インフラ業は景気敏感。資材コストや労働コストの上昇で利益率が圧迫される可能性。 |
資材・人件費の変動 | コンクリート、鉄鋼、燃料、人件費などコスト増が業績に影響する。 |
契約リスク | 入札競争、天候要因、規制変更、工事遅延が収益に影響する。 |
配当なし | 配当を出していないため、キャッシュフロー重視の投資家には向かない。 |
投資判断と見通し
STRL は「成長期待型」のインフラ関連株です。
- 成長ポテンシャルを重視する投資家には魅力的。
- バリュエーションがすでに高めなので、購入タイミングを慎重に見極める必要あり。
- 高成長株特有のボラティリティも考慮すべき。
近未来の注目点
- e-インフラ案件の受注残高
- マージン改善・コスト管理の継続性
- 政府のインフラ投資政策の動向
- 株価評価の調整リスク
まとめ
- STRL は インフラ・建設+e-インフラで成長ドライバーを持つ企業。
- データセンター需要やインフラ投資拡大の恩恵を受けている。
- 一方で、景気循環リスクやバリュエーションの高さに注意が必要。
- 投資を検討するなら、成長株としての性質を理解した上でポートフォリオの一部に組み込むスタンスが現実的。
コメント