この記事を書いた人|ひざき
米国株をメインに資産運用中。AIと一緒に自動売買システムを自作し、ペーパー口座での売買実績を毎週そのまま公開しています。自分の資産額も毎週公開中。新NISAは毎年満額まで使っています。専門家ではなく、いま実際に手を動かしている個人投資家の目線で書いています。→ プロフィール
はじめに|バフェットの90/10とは、90%をS&P500・10%を短期米国債
「バフェットの90/10」とは、資産の90%を低コストのS&P500インデックスファンドに、残り10%を短期の米国債に置くという資産配分のことです。ウォーレン・バフェット氏が2013年の株主への手紙で、自分の死後に妻へ遺す信託財産の運用方針として書いたものが出典です(バークシャー・ハサウェイ公式・2013年の株主への手紙)。
先に私の結論を書きます。この比率をそのままコピーするのは、日本に住む個人にはおすすめしません。ただし「買う前に配分を決めて、あとは相場で動かさない」という考え方の部分だけは、初心者ほど真似する価値があると思っています。この記事では、原文が何を言っているのか、日本で真似すると何がズレるのか、そして私自身がどう受け止めているかを順に整理します。
ちょうど2026年8月中旬の米国株は最高値圏で推移しています(2026年8月時点)。こういう強い相場のときほど「現金なんて持っていたら損じゃないか」という気分になりますよね。配分の話は、実はそういうときにこそ効いてきます。
バフェットの90/10とは?出典は2013年の株主への手紙

中身を表にすると、とてもシンプルです。
| 配分 | 中身 | 役割 |
|---|---|---|
| 90% | 低コストのS&P500インデックスファンド | 資産を増やす「攻め」 |
| 10% | 短期の米国債 | 下落局面で取り崩す「守り」 |
原文は誰でも読めます。バークシャー・ハサウェイの公式サイトに、歴代の株主への手紙がPDFで公開されています(2013年 株主への手紙・バークシャー・ハサウェイ公式PDF/2026年8月時点で公開を確認)。90/10の記述は、手紙の後半にある投資についての所感のパートに出てきます。あわせて「手数料の高い運用者に任せるより、この単純な方針のほうが長期の結果は上回るはずだ」という趣旨のことも書かれています。
ここ、地味ですが大事なところです。彼が売り込んでいるのは「90対10という比率」ではなく「難しいことをしない仕組み」のほうなんですよね。
なぜ「S&P500に90%」なのか|手紙が本当に言っていること
数字だけが独り歩きしがちなのですが、手紙の文脈を読むと、力点は次の3つに置かれています。
- コストを徹底的に下げること。バフェット氏はファンドの提供元としてバンガードを名指しで挙げています。運用成績は読めなくても、手数料の差は確実に効くからです。
- 銘柄を当てにいかないこと。個別株を選別するのではなく、市場全体をまるごと持つ形を勧めています。
- 運用する人が投資に詳しくない前提であること。相場を読まなくても回る配分にしてある、というのが設計思想です。
つまり90/10は「最適解の計算結果」ではなく、判断を減らすための割り切りです。ここを取り違えると、「じゃあ95/5でもいいのでは」「今は現金比率を上げるべきでは」と、まさに手紙が避けようとしていた迷いに戻ってしまいます。
なお、S&P500に連動する代表的な商品としてはVOO、米国市場全体ならVTIがよく比較されます。その違いはVOOとVTIの比較記事で整理しているので、90%の中身を何にするか迷っている方はあわせてどうぞ。
日本に住む個人が90/10を真似すると出る3つのズレ

ズレ1|10%の「短期米国債」を日本の口座で再現しにくい
NISAで買えるのは上場株式や投資信託などで、米国債そのものを直接買う枠ではありません(金融庁NISA特設ウェブサイト「NISAを知る」・2026年8月時点)。近いものを作るなら、短期の米国債に投資するETFや、円建ての公社債投信を課税口座で持つ形になります。
※短期米国債のETFは筆者は保有していません。以下は公開情報にもとづく整理で、「使ってみてどうだったか」の実体験ではありません。
そしてドル建てのETFを持つと、「守り」のはずの10%に為替の値動きが乗ります。米国の投資家にとっての短期国債は文字どおり値動きの小さい安全資産ですが、円で生活している私たちにとっては、そこに円高・円安が加わる。同じ商品でも役割が変わってしまうんです。
ズレ2|前提は「これから取り崩す人」であって、積立途中の人ではない
この配分は、相続したまとまった資産を運用し、そこから生活費を出していく信託への指示です。つまり入金が終わっている人の配分。一方で、積立の途中にいる現役世代には毎月の給料という入金力があります。給料が入ってくる人にとっては、10%の債券より「毎月買い続けられること」のほうがよほど強いクッションです。
逆に、すでに取り崩しを始めている、あるいは数年以内に始める予定の方には、この10%の意味はかなり大きくなります。暴落した年に株を売らずに済むかどうかで、資産の寿命が変わるからです。同じ90/10でも、自分がどちらの段階にいるかで読み方が真逆になると考えてください。
ズレ3|生活防衛資金と混ぜると、10%では足りないことがある
よくあるのが、生活防衛資金(病気や失業に備える現金)を10%の枠に含めてしまうパターンです。投資資産が300万円なら10%は30万円。これを生活費の備えと兼ねてしまうと、いざというときに足りず、結局は株のほうを売ることになります。それでは配分を決めた意味がありません。
生活防衛資金は投資の外側に置く。90/10はあくまで「投資に回すと決めたお金の中の話」。ここを分けておくだけで、暴落時の狼狽売りはかなり減ると思っています。
私ならどうするか|正直なところ
私は90/10という数字そのものは採用していません。採用しているのは「買う前に決めて、相場を見て変えない」という部分だけです。理由は、自分が相場を見ながらの判断に向いていないと、はっきり自覚しているからです。
その自覚のもとになっているのが、AIと一緒に作った自動売買システムの記録です。moomooのペーパー口座(シミュレーション)で動かしているもので、2026年8月17日時点の確定トレードは10回、うち勝ちは1回、累計の確定損益は-1,188.45ドル。決して自慢できる成績ではありません。
ただ、この結果を見て私が思ったのは「AIは弱い」ではなく、「感情ゼロで機械的に切ってもこれだけ負けるのに、感情がある自分が同じことを勝てるわけがない」ということでした。だから私は、判断の回数そのものを減らす方向に寄せています。配分を先に紙に書いておくのは、その中でいちばん簡単で効く方法です。
ちなみに売買のルールを先に決めておく話は、損切りルールの決め方と利確ルールの決め方にも書いています。配分・損切り・利確の3つを紙に書いておくと、相場の日々の値動きを見る必要がかなり減ります。
90/10を自分用に翻訳する4つのチェック
- 生活防衛資金を先に外に出す。生活費の半年〜1年分を投資と別口座に置き、そのうえで残りの配分を考える。
- 自分が「入金中」か「取り崩し中」かを決める。入金中なら株式の比率は高めでよく、取り崩しが近いほど守りを厚くする。
- 「守り」を何で持つか決める。短期米国債にこだわらず、円の現金でも構いません。大事なのは値動きが小さく、下げた年に取り崩せることです。
- 比率を紙かメモアプリに書いて、次に見るのは1年後にする。相場が動くたびに見直すなら、そもそも配分を決めた意味がありません。
これから米国株を始める方は、口座開設から買付までの流れをまとめた米国株の始め方ロードマップもあわせてどうぞ。
よくある質問
Q. バフェットの90/10は、日本人がそのまま真似していい?
そのままのコピーはおすすめしません。10%の「短期米国債」が日本の口座では再現しにくく、ドル建てで持つと為替リスクが乗るためです。比率ではなく「先に配分を決めて動かさない」という考え方を借りるのが現実的だと思います。
Q. 10%の短期米国債は、日本では何で買える?
短期の米国債に投資するETFや、円建ての公社債投信が近い選択肢になります。ただし個別の米国債はNISAの対象商品ではありません(金融庁・2026年8月時点)。取り扱いは証券会社ごとに違うので、各社の対象商品一覧で確認してください。
Q. 新NISAで90/10はできる?
株式側の90%はNISAで持てますが、10%の債券部分は同じようにはいきません。現実的には「NISAで株式インデックス、守りの部分は課税口座か現金」という組み合わせになります。なお成長投資枠では、毎月分配型など一部の投資信託が対象から除外されています(金融庁・2026年8月時点)。
Q. 60代でも90/10でいいの?
断定はできません。ただし、取り崩しが近いほど株式90%はきつくなります。暴落した年に生活費のために株を売らずに済むだけの守りがあるか、という基準で考えるほうが実用的です。
Q. 90%はS&P500じゃないとダメ?全世界(オルカン)ではだめ?
手紙はS&P500と書いていますが、優劣を証明したものではありません。米国に集中するか世界に分散するかは、どちらが正解と言い切れない論点です。90/10の要点は投資先の選択ではなく、配分を決めて動かさないことのほうにあります。
まとめ
- バフェットの90/10は、90%を低コストのS&P500インデックスファンド、10%を短期米国債に置く配分。出典は2013年の株主への手紙(バークシャー・ハサウェイ公式)
- 力点は比率ではなく「コストを下げる・銘柄を当てにいかない・判断を減らす」の3つ
- 日本で真似すると、10%の再現の難しさ・前提の違い・生活防衛資金との混同という3つのズレが出る
- 比率ではなく「先に決めて動かさない」という部分だけを借りるのが現実的
配分の話は地味で、書いていてもバズる気配がまったくありません。それでも私がこのテーマを選んだのは、相場が強いときに決めておかないと、下げてから決めることになるからです。今のうちに、自分の比率を一度書き出してみてください。
筆者について|ひざき。米国株をメインに資産運用中の個人投資家です。AIと自作した自動売買システムのペーパー口座での実績と、自分の資産額を毎週そのまま公開しています。金融の専門家ではありません。→ プロフィール
免責事項
本記事は情報提供を目的としたもので、特定の銘柄・商品の購入や売却を推奨するものではありません。株式・ETF・投資信託・債券への投資には価格変動リスクや為替リスクがあり、元本割れの可能性があります。本文中の資産配分の考え方、NISA制度の取り扱い、自動売買の実績などの内容は2026年8月時点のもので、制度改正や市況によって変動します。最新の情報は、バークシャー・ハサウェイ、Vanguard・iShares(BlackRock)等の各運用会社および各証券会社の公式情報、ならびに金融庁・国税庁の公表資料でご確認ください。税制の取り扱い(外国税額控除・確定申告の有利不利など)はご自身の状況によって結論が変わります。個別の税務相談は税理士等の専門家にご相談ください。投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。

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