JEPI(ジェピ)とJEPQ(ジェップキュー)の一番の違いは、中に入っている株です。JEPIはS&P500のなかでも値動きが穏やかな大型株、JEPQはナスダック100のハイテク株。どちらもJPモルガンが運用する毎月分配のETFで、経費率は同じ年0.35%です。直近12ヶ月の分配利回りはJEPIが8.05%、JEPQが10.83%(JPモルガン公式ファクトシート・2026年7月31日時点)。利回りが高いぶんJEPQは値動きも大きく、2026年7月は1ヶ月で-4.33%でした。守りならJEPI、攻めならJEPQ、というのがざっくりの結論です。
この記事を書いた人|ひざき
米国株をメインに資産運用中。AIと一緒に自動売買システムを自作し、ペーパー口座での売買実績を毎週そのまま公開しています。自分の資産額も毎週公開中。新NISAは毎年満額まで使っています。専門家ではなく、いま実際に手を動かしている個人投資家の目線で書いています。→ プロフィール
※JEPI・JEPQはいずれも筆者は保有していません。以下は運用会社(JPモルガン)の公式情報にもとづく整理で、「使ってみてどうだったか」の実体験ではありません。私が実際に保有しているのはVTIとSPYDです。
はじめに|この記事は誰向けか
「毎月お金が入ってくるETFがあるらしい」と聞いてJEPIやJEPQを調べ始めた方に向けて書いています。読み終わると、2本の違い・利回りの数字の意味・日本の新NISAでどう扱われるか・100万円分持ったら実際いくら受け取れるのかまでわかります。
私自身、初めてJEPQの利回り10%超という数字を見たときは「なにか裏があるのでは」と思いました。結論から言うと裏はあります。ただしそれは詐欺的な意味ではなく、値上がり益の一部を手放して現金に変えているという設計上の割り切りです。ここが理解できると、どちらを選ぶかの判断がぐっと楽になります。
JEPIとJEPQの基本スペックを表で比較
| 項目 | JEPI | JEPQ |
|---|---|---|
| 正式名称 | JPMorgan Equity Premium Income ETF | JPMorgan Nasdaq Equity Premium Income ETF |
| ベースになる市場 | S&P500(米国大型株) | ナスダック100(ハイテク中心) |
| 設定日 | 2020年5月20日 | 2022年5月3日 |
| 純資産総額 | 458.0億ドル | 398.8億ドル |
| 経費率(年) | 0.35% | 0.35% |
| 30日SEC利回り | 7.88% | 15.06% |
| 直近12ヶ月の分配利回り | 8.05% | 10.83% |
| 分配頻度 | 毎月 | 毎月 |
| 組入銘柄数 | 129 | 110 |
| 情報技術セクター比率 | 15.0% | 47.7% |
数字の出どころは、JPモルガンが毎月出している公式ファクトシートです(JEPIのファクトシート/JEPQのファクトシート)。まとめサイトの数字は更新が止まっていることがあるので、買う前は必ずここを開くことをおすすめします。
違い①:中身がまったく違う
同じシリーズなので混同しがちですが、ポートフォリオの中身は別物です。JEPIの上位銘柄はアマゾン2.0%、マイクロソフト1.8%、アルファベット1.8%、マスターカード1.8%、ロス・ストアーズ1.7%と、1銘柄あたり2%以下で129銘柄に薄く広げています。情報技術セクターは15.0%しかなく、ヘルスケア12.7%・資本財12.1%とバランス型です。
対してJEPQの上位はエヌビディア6.9%、アップル6.4%、アルファベット5.3%、マイクロソフト5.0%、アマゾン4.3%。上位5銘柄だけで約28%、情報技術セクターは47.7%を占めます(いずれもJPモルガン公式・2026年7月31日時点)。「毎月分配のETF」というくくりで並べられていますが、実態としてはJEPQはハイテク集中型の商品だと理解しておいたほうがいいです。
違い②:利回りが高いほど、値動きも大きい

値動きの荒さを表す標準偏差は、JEPIが7.74(直近1年/同期間のS&P500は13.20)、JEPQが13.83(設定来/同期間のナスダック100は20.25)です。どちらも元の指数より穏やかですが、JEPIとJEPQを並べるとJEPQのほうが約1.8倍振れることになります。
| 年 | JEPI | S&P500 | JEPQ | ナスダック100 |
|---|---|---|---|---|
| 2021年 | +21.61% | +28.71% | — | — |
| 2022年 | -3.54% | -18.11% | — | — |
| 2023年 | +9.88% | +26.29% | +36.28% | +55.13% |
| 2024年 | +12.56% | +25.02% | +24.82% | +25.88% |
| 2025年 | +8.07% | +17.88% | +15.19% | +21.02% |
この表は、私がこの2本を調べていて一番「なるほど」と思った部分です。JEPIは2022年の暴落で-3.54%と、S&P500の-18.11%に対して圧倒的に粘りました。そのかわり2023年以降の上昇相場では毎年10ポイント以上置いていかれています。JEPQも同じで、2023年は+36.28%と立派ですが、ナスダック100の+55.13%には遠く及びません。
つまりこの2本は、指数に勝つための商品ではなく、上昇の一部を諦めて毎月の現金に変える商品です。ここを「高配当だから有利」と読み違えると、あとで「思ったより増えていない」となります。
違い③:仕組みは同じ「カバードコール」
両方とも、株を持ちながらその株の「決められた価格で買う権利(コール・オプション)」を売り、受け取った代金(オプション・プレミアム)を分配金の原資にしています。これがカバードコール戦略です。JPモルガンのETFの場合は、ELN(エクイティ・リンク・ノート)という債券のような形でこの仕組みを組み込んでいます。
初心者がつまずくポイントを3つ先回りしておきます。
- 株が急騰しても、決めた価格から上は受け取れない。権利を売っているので上値が切られます。だから上昇相場で指数に負けます。
- 下落は普通に食らう。オプション代の分だけクッションになりますが、暴落そのものを防ぐ商品ではありません。実際JEPQは2026年7月の1ヶ月で-4.33%でした。
- 利回りは固定ではない。JEPQの30日SEC利回りは2026年6月30日時点で12.87%、7月31日時点で15.06%と、1ヶ月で2ポイント以上動いています(JPモルガン公式)。相場が荒れるとオプション代が高くなるので利回りが上がる、という関係です。「年10%が約束されている」わけではありません。
ELNには発行体の信用リスク(カウンターパーティ・リスク)や流動性リスクがあることも、JPモルガン自身がファクトシートのリスク説明に明記しています。仕組みが1枚かんでいる分、素直なインデックスETFより中身は複雑です。
100万円分を持ったら、分配金はいくら?
数字を自分ごとにするために、100万円分を1年間持ったと仮定して計算してみます。直近12ヶ月の分配利回り(JEPI 8.05%/JEPQ 10.83%・JPモルガン公式・2026年7月31日時点)がそのまま続いたと仮定した場合の試算です。将来を保証する数字ではありません。
| 100万円あたり(年間) | JEPI | JEPQ |
|---|---|---|
| 税引前の分配金 | 約80,500円 | 約108,300円 |
| 税引後(概算) | 約57,700円 | 約77,700円 |
| 税引後の月平均 | 約4,800円 | 約6,500円 |
100万円で月4,800〜6,500円。これを「思ったより少ない」と感じるか「悪くない」と感じるかは人それぞれだと思います。私は正直、最初に計算したとき「10%という数字の印象ほどではないな」と思いました。しかも課税口座だと、受け取るたびに約28%が税金で消えます。ここが後述の新NISAの話につながってきます。
ちなみに、当ブログで比較しているVYMやSCHDのような一般的な高配当ETFとは利回りの桁が違います。そのぶん値上がり益の性格も違うので、同じ土俵で並べないほうがいいです。高配当ETFの選び方そのものは高配当ETF比較まとめとVYMとSCHDの比較記事にまとめています。
日本で買うなら:新NISAと円建て投信版
日本の読者にとって一番効いてくるのがここです。JEPI・JEPQはいずれも毎月分配型で、かつオプション(デリバティブ)を使う商品性のため、新NISAの成長投資枠の対象からは外れているという案内が一般的です。つまり買うなら課税口座(特定口座)になり、上の表のとおり分配金のたびに税金がかかります。
ただし成長投資枠の対象銘柄リストは証券会社ごとに管理・更新されているので、買う前に必ず自分の使う証券会社の「NISA対象銘柄一覧」で確認してください。成長投資枠のルールそのものは新NISAで米国ETFは買える?成長投資枠の対象と除外で整理しています。
円建てで買いたい人向けには、投資信託版があります。楽天投信投資顧問の「楽天・米国成長株式・プレミアム・インカム・ファンド(毎月決算型)」(愛称:楽天・JEPQ)は設定日2025年8月14日、年12回・毎月15日決算、為替ヘッジなし、信託期間は2035年8月14日までとされています(楽天投信投資顧問公式ページ・2026年8月時点)。JEPI版にあたる「楽天・米国大型株式・プレミアム・インカム・ファンド(毎月決算型)」も同社にラインナップされています。
投信版は円建てで100円から買える手軽さがありますが、投資対象ETFの管理報酬(年0.35%)に国内の信託報酬が上乗せされる分、コストは米国ETFを直接買うより高くなります。またこちらも毎月決算型なので、新NISAの対象にはなりません。「投信版なら新NISAで買える」と勘違いしやすいところなので注意してください。
私ならどうするか(正直な話)
正直に書きます。私は現時点でどちらも買っていません。理由は3つあります。
1つめは、新NISAで買えないこと。私は毎年NISA枠を満額使う方針でやっているので、税制優遇の効かない箱に高分配の商品を入れると、税金で削られる額が一番大きくなってしまいます。2つめは、私の投資期間がまだ十分長いこと。いま毎月の現金が必要なわけではないので、上昇の一部を諦めてまで現金化する理由が自分にはありません。3つめは、中身がやや複雑なこと。ELNの仕組みまで含めて人に説明できる自信が持てるまでは、自分の本資産では買わないと決めています。
逆に言えば、「いま毎月の現金が欲しい」「値上がりより安定した入金が心地よい」という人には、この商品が刺さる理由はよくわかります。特にJEPIの2022年の粘り(-3.54%)は、暴落で不安になって売ってしまう人にとっては本当に価値のある性質だと思います。増えるかどうかより、続けられるかどうかで選ぶ、というのはアリな考え方です。
なお、もし2本のうち1本ということなら、私は「攻めたいならJEPQを持つよりQQQを持てばいい」と考えてしまう側です。このあたりの考え方はQQQとVOOの比較記事にも書いています。
よくある質問
Q. JEPIとJEPQ、初心者はどっちから始めればいい?
値動きの穏やかさを優先するならJEPIです。標準偏差7.74とJEPQの13.83の差は、暴落時の含み損の大きさとして体感で出ます。判断の分かれ目は「毎月の入金額」ではなく「どれくらいの下落まで平気で持ち続けられるか」です。ただし、そもそも資産を増やしたいのが目的なら、この2本より先に低コストのインデックスETFを検討したほうが素直だと私は思います。
Q. JEPIやJEPQは新NISAで買える?
対象外として案内されているのが一般的です。毎月分配型であることとオプション(デリバティブ)を用いる商品性が理由とされています。円建ての投信版(楽天・JEPQなど)も毎月決算型なので同様です。ただし対象銘柄は証券会社が随時更新するため、必ず自分の口座の「NISA対象銘柄一覧」で最新の扱いを確認してください。
Q. 分配利回り10%は毎年もらえるの?
保証されていません。JEPQの30日SEC利回りは2026年6月30日時点12.87%、7月31日時点15.06%と1ヶ月で大きく動いています(JPモルガン公式)。オプション代は相場が荒れるほど高くなるため、利回りは市況次第で上下します。過去の利回りをそのまま将来に当てはめる計算は、あくまで目安として見てください。
Q. JEPQとQQQはどっちがいい?
目的が違います。値上がりを取りにいくならQQQ(ナスダック100そのもの)、毎月の現金を取りにいくならJEPQです。実績で見ても、2023年はJEPQ+36.28%に対しナスダック100が+55.13%、2025年はJEPQ+15.19%に対し+21.02%と、上昇相場では指数が上回っています(JPモルガン公式・2026年7月31日時点)。
Q. JEPIとJEPQを両方持つのはアリ?
アリだと思いますが、意味があるのは「S&P500系とナスダック系に分散したい」場合だけです。どちらもカバードコールという同じ仕組みのリスクを抱えているので、2本に分けても仕組み由来のリスク(上値が切られる/ELNの信用リスク)は分散できません。分散したいなら、仕組みの違う商品と組み合わせるほうが理にかなっています。
まとめ
- 違いの本体は中身。JEPIはS&P500系で情報技術15.0%、JEPQはナスダック100系で47.7%(2026年7月31日時点)
- 直近12ヶ月の分配利回りはJEPI 8.05%/JEPQ 10.83%。経費率はどちらも年0.35%で同じ
- 利回りが高い分JEPQは振れる。標準偏差はJEPI 7.74に対しJEPQ 13.83
- 両方とも上昇の一部を手放して現金に変える商品。指数に勝つための道具ではない
- 新NISAの成長投資枠では対象外の案内が一般的。円建て投信版も毎月決算型なので同じ
- 100万円で税引後の月平均はJEPI 約4,800円/JEPQ 約6,500円(想定値の試算)
高配当ETF全体の選び方は高配当ETF比較まとめに、米国株そのものの始め方は米国株の始め方ロードマップにまとめています。
この記事を書いた人|ひざき
米国株をメインに資産運用している個人投資家です。AIと一緒に作った自動売買システムのペーパー口座での実績と、自分の資産額を毎週公開しています。新NISAは毎年満額まで使っています。金融の専門家ではありません。→ プロフィール
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本記事は情報提供を目的としたもので、特定の銘柄・商品の購入や売却を推奨するものではありません。株式・ETF・投資信託への投資には価格変動リスクがあり、元本割れの可能性があります。本文中の経費率・分配金利回り・構成銘柄・分配頻度・リターンなどの数値は2026年7月31日時点(一部は2026年8月時点)のもので、市況や商品性の変更によって変動します。最新の情報は、JPモルガン・アセット・マネジメント、楽天投信投資顧問等の各運用会社および各証券会社の公式情報、ならびに金融庁・国税庁の公表資料でご確認ください。新NISAの対象銘柄は証券会社ごとに異なり、随時更新されます。税制の取り扱い(外国税額控除・確定申告の有利不利など)はご自身の状況によって結論が変わります。個別の税務相談は税理士等の専門家にご相談ください。投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。

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