米国株の9月アノマリーとは?2026年の見方

相場ニュース解説

この記事を書いた人|ひざき

米国株をメインに資産運用中。AIと一緒に自動売買システムを自作し、ペーパー口座での売買実績を毎週そのまま公開しています。自分の資産額も毎週公開中。新NISAは毎年満額まで使っています。専門家ではなく、いま実際に手を動かしている個人投資家の目線で書いています。→ プロフィール

はじめに:9月アノマリーとは何か

9月アノマリーとは、米国株が1年のうち9月にもっとも下がりやすい、という経験則のことです。1928年1月〜2025年7月のS&P500を月別に集計すると、9月の平均リターンは-1.2%で12カ月中の最下位。9月がマイナスで終わった割合も55%と、他の月の39%より明らかに高くなっています(RBC Wealth Management/Bloomberg集計)。

ただし、これは「今年の9月も下がる」という予測ではありません。マイナスが55%ということは、45%はプラスで終わっているということでもあります。この記事では、9月アノマリーの数字を出典と集計期間つきで確認したうえで、2026年9月に実際に控えているイベント(ジャクソンホール会議とFOMC)と、私自身がアノマリーをどう扱っているかを書きます。9月の相場が怖くて動けない、という方に読んでほしい内容です。

数字で見る「9月の弱さ」

まず、S&P500の月別平均リターンを全部並べます。「9月が弱い」という話は感覚だけが一人歩きしがちなので、他の月と並べて見てください。

平均リターン 平均リターン
1月 +1.2% 7月 +1.7%(最高)
2月 -0.1% 8月 +0.7%
3月 +0.5% 9月 -1.2%(最低)
4月 +1.2% 10月 +0.5%
5月 +0.1% 11月 +1.0%
6月 +0.8% 12月 +1.3%
S&P500の月別平均パフォーマンス。出典: RBC Wealth Management/Bloomberg、1928年1月〜2025年7月の月次データ

マイナスなのは2月(-0.1%)と9月(-1.2%)だけ。しかも9月は2月の10倍以上の下げ幅です。あわせて押さえておきたいのが、次の3つです(いずれも同じRBCの集計)。

  • 1928年以降、9月がマイナスで終わった割合は55%。他の月の「マイナス率」が39%なので、たしかに突出しています
  • 過去の月間下落ワースト40回のうち9回が9月で、これも全月中で最多。10月の6回がこれに続きます
  • これは米国だけの現象ではありません。1970年以降で見ると、カナダ(S&P/TSX)-1.4%、英国(FTSE All-Share)-1.1%、香港(ハンセン指数)-1.0%と、主要国がそろって9月にマイナスです

「9月が下がりやすい」という言い方自体は、データとしては正しいと言えます。

ただし「平均-1.2%」は、そのままの意味ではない

ここが、私がこの記事で一番書きたかった点です。同じRBCの資料の中に、「-1.2%」とはまるで違う数字が併記されています。

RBCによれば、直近5年のうち4年の9月は、平均で4.2%下落しています。長期平均の-1.2%の3倍以上です。内訳を見ると、2022年9月は-9.3%、2020年9月は-3.9%。一方で2024年9月はプラスで終わっていますが、その月も序盤にはAI関連の半導体株の売りで4.3%下げてから戻しています。

つまり、「9月の平均は-1.2%」という数字は、97年分をならした結果であって、実際の1回1回の9月はもっと荒いということです。-1.2%だから大したことはない、と読むのは危険だし、逆に「毎年1.2%下がる」と読むのも間違いです。

私は投資を始めたころ、この手の数字を見るたびに「そうなのか」と鵜呑みにしていました。いまは、アノマリーの記事を見たら真っ先に集計期間を探すようにしています。期間が書いていない「9月は下がります」という情報は、それだけで信用度がかなり落ちる、というのが私の判断基準です。

9月アノマリーについて、データとして言えることと鵜呑みにできない理由を左右2列で比較した図解

なぜ9月は弱いと言われるのか

先に結論を書くと、はっきりした定説はありません。RBCも「単一の客観的な理由はない」と明言したうえで、寄与していそうな要因を3つ挙げています。

  1. ウィンドウドレッシング(見栄えの調整):米国の投資信託には決算期の関係で10月末を保有銘柄の報告基準日にしているファンドが多く、その手前の9〜10月に、成績の悪い銘柄を売って見栄えを整える動きが出やすい。売られた弱い銘柄がさらに下げ、指数の重しになります
  2. タックスロス・セリング(損出し):含み損の銘柄を売って利益と相殺する動き。ただしRBCは「本格化するのは年の後半」としており、9月の主因ではないという見方です
  3. 投資家心理(自己成就的予言):「9月は弱い」というデータが機関投資家にもよく知られているため、それ自体が値動きを作っている可能性。行動ファイナンスの研究者も指摘しているそうです

RBCは「夏休み明けでポジションを整理したくなるのでは」という説にも触れていますが、裏付けとなる研究はまだ見たことがないと正直に書いています。私はこの書き方が好きで、分からないことを分からないと書く資料のほうが信用できると思っています。

2026年9月に実際に控えているイベント

アノマリーより、私は「今年の9月に何が起きる予定か」のほうをはるかに重視しています。2026年は、9月を待たずに8月末から大きな山場が来ます。

① ジャクソンホール会議(8月27〜29日)

カンザスシティ連銀が主催する年次シンポジウムが、2026年8月27日から29日に開催されます。今年のテーマは「Financial Innovation: Implications for Payments and Policy(金融イノベーション:決済と政策への影響)」です(カンザスシティ連銀公式・2026年8月時点)。

今年の最大の注目点は、ケビン・ウォーシュ議長にとって就任後はじめてのジャクソンホール講演になることです。講演は日程上、会期2日目の8月28日午前(米東部時間)に予定されています。ウォーシュ氏は2026年5月22日にパウエル前議長の後任として第17代FRB議長に就任しました。人物像と就任の経緯はウォーシュFRB議長とは?利上げ観測と米国株への影響に、会議そのものの位置づけはジャクソンホール会議とは?2026年の日程と株価影響にまとめています。

※この記事を書いている時点で講演はまだ行われていません。内容についての予想は書きません。

② FOMC(9月15〜16日)

9月最大のイベントはFOMC(連邦公開市場委員会)です。開催日は9月15日〜16日で、この回は経済見通し(SEP)の公表を伴う回にあたりますFRB公式のFOMCカレンダー・2026年8月時点)。SEPが出る回は政策金利の見通し(いわゆるドットプロット)も同時に公表されるため、通常の会合より材料としての重みが増します。FOMCそのもののしくみはFOMCとは?初心者向け解説をどうぞ。

ここで日本の個人投資家が取り違えやすいのが、いま市場が織り込んでいるのは「利下げ」ではなく「利上げ」だという点です。7月FOMCが金利を据え置いたあと、金利先物市場は9月の0.25%利上げをおよそ65〜67%の確率で織り込んでいると報じられています(2026年7月末時点の報道ベース)。背景には、エネルギー価格の高止まりと、7月の据え置きでFRBのインフレ抑制姿勢に疑問符がついたことがあるとされています。ウォーシュ議長自身も、インフレを目標まで下げる必要があると繰り返し発言してきた人物です。

ただし、この確率は日々動きます。私が今回調べた範囲でも、情報源と日付によって数字がかなりバラついていました。ここは断定できないので、断定しません。数字を見るときは「いつ時点の、どのツールの数字か」まで確認してください。

いまの相場はどこにいるのか

9月を迎える直前の位置も確認しておきます。2026年8月25日(火)の米国市場の終値は次のとおりでした。

指数 終値 前日比
S&P500 7,677.24 +0.3%(+24.38)
ナスダック総合 26,151.30 +0.7%(+171.11)
NYダウ 53,577.40 +0.3%(+160.24)/3日続伸
2026年8月25日(火)終値。出典: Zacks「Stock Market News for Aug 26, 2026」

S&P500は2026年に入ってから27回も史上最高値を更新しており、8月中旬には終値ではじめて7,800台に乗せ、ザラ場高値は7,814.88をつけています。年初来では約13%高(いずれも2026年8月時点の報道ベース)。8月25日の終値7,677.24は、その最高値から2%弱下の水準です。

つまり2026年の9月は、「安いところから始まる9月」ではなく「高いところから始まる9月」ということになります。ここは正直、私も身構えている部分です。

私はアノマリーをどう使っているか

正直に書くと、私はアノマリーを売買の理由にはしていません。「9月だから売る」「9月だから買わない」という判断は一度もしたことがありません。

理由は2つあります。ひとつは、上に書いたとおり、平均値と実際の1回1回の9月がまるで違うこと。もうひとつは、アノマリーを理由に積立を止めると、上がった45%の年を丸ごと取り逃がすからです。新NISAのつみたては私は毎月自動のままにしていて、9月だからといって止めるつもりはありません(この考え方は新NISAはほったらかしでいい?年1回の点検リストにも書いています)。

ではまったく無意味かというと、そうでもないと思っています。私にとってアノマリーは「下がったときに驚かないための心の準備」です。9月に3%下げたとき、事前に「9月は荒れやすい月らしい」と知っていれば、慌てて投げ売りする確率は少し下がる。実際、私が過去にやらかした失敗はどれも「想定していなかった下げ」に反応したものでした。この手の反射的な売りについては狼狽売りとは?暴落で売って後悔しないための考え方に詳しく書いています。

9月に振り回されないための3つの確認

初心者の方がつまずきやすいポイントを、先回りして3つ挙げます。

  1. アノマリーの記事を見たら集計期間を探す。書いていなければ数字は参考程度にとどめる
  2. 下げたときに何をするかを、下げる前に決めておく。「◯%下げたら買い増す」でも「何もしない」でもよく、決めてあること自体が効きます
  3. 相場の過熱・悲観の温度感を数字で確認する。私はVIX(恐怖指数)を見て、自分の体感とズレていないかを確かめています

どれも地味ですが、9月に限らず使えます。というより、9月だけ特別なことをしようとすると、たいてい失敗します。

よくある質問

Q. 9月アノマリーがあるなら、8月中に売っておくべき?

私はそうしません。9月がプラスで終わる年も45%あり、売ったあとに上がれば買い戻すタイミングを失います。加えて、売却益には課税されるため、税金と売買コストの分だけ確実に不利になります。ただし「もともと利益確定を考えていた銘柄がある」なら、それは9月とは無関係に自分のルールで判断する話です。

Q. なぜ9月は弱いと言われるの?

定説はありません。米国の投資信託に10月末を報告基準日とするものが多く、その手前で成績の悪い銘柄を整理する「ウィンドウドレッシング」が出やすい、という説明がよく挙がりますが、RBC自身が「単一の客観的な理由はない」としています。「理由が確定していない経験則」だと理解しておくのが安全です。

Q. 積立投資も9月は止めたほうがいい?

止める合理的な理由は見つかりませんでした。むしろ下がった月に安く買えるのが積立の仕組みなので、9月に弱さが出るなら積立にとってはプラスに働く可能性すらあります。私は新NISAのつみたてを9月も通常どおり継続する予定です。

まとめ

  • 9月アノマリー=米国株が9月に下がりやすいという経験則。1928年1月〜2025年7月のS&P500で9月は平均-1.2%と12カ月中最下位(RBC/Bloomberg集計)
  • ただし直近5年のうち4年は平均-4.2%と長期平均の3倍以上。「平均-1.2%」をそのままの意味で受け取らない
  • マイナスで終わったのは55%。裏を返せば45%はプラスで、当てにいくには分が悪い
  • 2026年の焦点はアノマリーではなくジャクソンホール会議(8月27〜29日・ウォーシュ議長の初講演)9月15〜16日のFOMC(経済見通し公表あり・FRB公式)
  • 市場が織り込んでいるのは利下げではなく利上げ。ここは日本語の情報だと取り違えやすい
  • 2026年の9月は最高値圏からのスタート(8月25日終値: S&P500 7,677.24)
  • 私はアノマリーを売買の理由にはせず、「下げても驚かないための準備」として使っています

9月が終わってみないと、今年がどちらだったかは誰にも分かりません。分からないものを当てにいくより、下げたときの自分の行動を決めておくほうが、はるかに再現性があると思っています。

この記事を書いた人|ひざき

米国株をメインに資産運用中。AIと自作した自動売買システムのペーパー口座での売買実績と、自分の資産額を毎週公開しています。新NISAは毎年満額まで使用中。金融の専門家ではありません。→ プロフィールAI自動売買まとめ

免責事項

本記事は情報提供を目的としたもので、特定の銘柄・商品の購入や売却を推奨するものではありません。株式・ETF・投資信託への投資には価格変動リスクがあり、元本割れの可能性があります。本文中の指数の終値・月別平均リターン・FOMCやジャクソンホール会議の日程・利上げ確率などの数値は2026年8月時点のもので、市況・日程変更・市場の織り込みによって変動します。過去の統計的な傾向(アノマリー)は将来の値動きを保証するものではありません。最新の情報は、FRB(連邦準備制度理事会)カンザスシティ連銀、S&P Dow Jones Indices、各運用会社および各証券会社の公式情報、ならびに金融庁・国税庁の公表資料でご確認ください。税制の取り扱い(外国税額控除・確定申告の有利不利など)はご自身の状況によって結論が変わります。個別の税務相談は税理士等の専門家にご相談ください。投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。

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