この記事を書いた人|ひざき
米国株をメインに資産運用中。AIと一緒に自動売買システムを自作し、ペーパー口座での売買実績を毎週そのまま公開しています。自分の資産額も毎週公開中。新NISAは毎年満額まで使っています。専門家ではなく、いま実際に手を動かしている個人投資家の目線で書いています。→ プロフィール
はじめに:VYMとは何かを一言で
VYM(バンガード・米国高配当株式ETF)とは、米国の高配当株およそ600銘柄にまとめて投資できる、経費率0.04%の米国ETFです。FTSEハイディビデンド・イールド・インデックスに連動し、分配金は年4回(四半期ごと)出ます。組入銘柄数は604、30日SEC利回りは2.20%(いずれもバンガード公式・2026年7〜8月時点)。新NISAの成長投資枠でも買えます。
この記事は「高配当ETFを1本持つならVYMでいいのか?」を判断したい初心者の方向けに、公式データだけを使って中身を整理したものです。私が実際に数字を見ていて意外だったポイントと、日本で買うときの落とし穴(円建ての投信版には分配金が出ないものがある)まで書きます。
※VYMは筆者は保有していません。以下は運用会社であるバンガードの公式情報にもとづく整理で、「使ってみてどうだったか」の実体験ではありません。実体験にもとづく話は、記事後半の「私ならどう考えるか」の部分だけです。
VYMの基本スペック(2026年9月時点)
まずは数字から。すべてバンガード公式のVYMページおよび同社アドバイザー向けのファンド詳細ページで確認した値です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 正式名称 | バンガード・米国高配当株式ETF |
| ティッカー | VYM(NYSE Arca上場) |
| 連動指数 | FTSEハイディビデンド・イールド・インデックス |
| 経費率 | 年0.04%(バンガード公式・2026年2月27日時点) |
| 組入銘柄数 | 604銘柄(同・2026年7月31日時点) |
| 30日SEC利回り | 2.20%(同・2026年8月31日時点) |
| 分配金利回り | 2.29%(同・2026年7月31日時点) |
| 分配頻度 | 年4回(四半期) |
| 純資産総額 | 1,008億ドル(同・2026年8月31日時点/ETFクラスは831億ドル) |
| 設定日 | 2006年11月10日 |
| PER | 20.6倍(同・2026年7月31日時点) |
目立つのは経費率0.04%です。VYMの経費率はもともと年0.06%程度でしたが、バンガードの費用引き下げにより米国時間2026年2月2日付で年0.04%程度に変更されました(楽天投信投資顧問の公式お知らせ・2026年2月13日)。100万円分を1年持ったときの信託報酬相当が400円ということなので、コストで負けにいく商品ではありません。
中身を見て意外だった:VYMの1位はブロードコム
高配当ETFと聞くと、石油・タバコ・通信のような「地味で古い会社の詰め合わせ」を想像しませんか。私はそう思っていました。実際に構成銘柄を見ると、そのイメージは半分しか当たっていません。
| 順位 | 銘柄 | 比率 |
|---|---|---|
| 1 | ブロードコム(AVGO) | 7.34% |
| 2 | JPモルガン・チェース(JPM) | 3.81% |
| 3 | エクソンモービル(XOM) | 2.62% |
| 4 | ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ) | 2.50% |
| 5 | シスコシステムズ(CSCO) | 1.86% |
| 6 | アッヴィ(ABBV) | 1.80% |
| 7 | バンク・オブ・アメリカ(BAC) | 1.66% |
| 8 | ユナイテッドヘルス・グループ(UNH) | 1.52% |
| 9 | キャタピラー(CAT) | 1.50% |
| 10 | シェブロン(CVX) | 1.48% |
首位はAI半導体で急成長したブロードコムで、比率は7.34%。2位のJPモルガンが3.81%なので、1位だけが飛び抜けています。604銘柄に分散しているはずのETFで、1銘柄が7%を超えているという事実は、買う前に知っておいて損はありません。時価総額加重の指数なので、株価が上がった銘柄の比率が自然に膨らむ仕組みです。
| セクター | 比率 |
|---|---|
| 金融 | 21.27% |
| 資本財 | 14.06% |
| テクノロジー | 13.95% |
| ヘルスケア | 12.47% |
| エネルギー | 9.40% |
| 生活必需品 | 8.41% |
| 一般消費財 | 7.74% |
| 公益 | 5.74% |
| 通信 | 4.04% |
| 素材 | 2.89% |
| 不動産 | 0.03% |
セクターでもテクノロジーが3番目に大きい13.95%です。「高配当ETFを買えばハイテクの値動きから離れられる」と考えているなら、それは少し違います。金融が21%で最大という点も含めて、VYMは景気敏感セクターの比重が高いETFだと理解しておくのが正確です。不動産が0.03%しかないのは、指数がREITを除外しているためです。
利回りは「2.20%」か「2.29%」か — 定義で数字が変わる
VYMの利回りを調べると、サイトによって2.2%だったり2.4%だったりします。これは利回りの定義が違うだけです。バンガード公式には2つ並んでいます。
- 30日SEC利回り:2.20%(2026年8月31日時点)— 直近30日の実績をもとに、法定の計算方法でならしたもの
- 分配金利回り:2.29%(2026年7月31日時点)— 実際に支払われた分配金ベース
どちらが正しいということはありませんが、他のETFと比べるときは必ず同じ定義でそろえる必要があります。以下の試算では保守的に低いほうの30日SEC利回り2.20%を使います。

| 口座 | 年間の受取額(概算) | 引かれる税金 |
|---|---|---|
| 税引前 | 約22,000円 | — |
| 新NISA(成長投資枠) | 約19,800円 | 米国で10%のみ |
| 特定口座 | 約15,800円 | 米国10%+日本20.315% |
ここで見落とされがちなのが、新NISAでも米国側の10%は引かれるという点です。日本の税金がゼロになるだけで、外国税額控除も新NISA内では使えません。この仕組みは米国ETFの分配金の税金は?二重課税と新NISAで詳しく書いています。「高配当ETFは新NISAで」と単純に言い切れないのは、この10%があるからです。
日本で買うなら?円建て投信版には落とし穴がある
VYM本体はドル建てのETFなので、円をドルに替えて1株単位で買います。一方、VYMを中身に持つ円建ての投資信託もあり、こちらは100円から積み立てられます。ただし、ここに初心者がつまずくポイントがあります。
| 商品名 | 実質コスト(年・税込) | 決算 | 設定日 |
|---|---|---|---|
| VYM(本家ETF) | 0.04% | 年4回 | 2006年11月 |
| SBI・V・米国高配当株式インデックス・ファンド | 約0.1238% | 年1回(7月11日) | 2021年6月29日 |
| 楽天・米国高配当株式インデックス・ファンド(楽天・VYM) | 約0.172% | 年1回(7月15日) | 2018年1月10日 |
| 楽天・高配当株式・米国VYMファンド(四半期決算型) | 約0.172% | 年4回(1・4・7・10月) | 2025年3月5日 |
注目してほしいのは決算回数です。楽天・VYMは設定来(2018年1月〜2025年7月の第8期まで)の分配金がすべて0円と、同ファンドの交付目論見書に明記されています。分配せずに再投資して基準価額を伸ばす設計なので、「高配当ETFを買ったのに配当が振り込まれない」ということが実際に起こります。トータルリターンで見れば分配しないほうが税の繰り延べになって有利になり得ますが、「配当を受け取る体験がほしい」人には期待外れになります。
分配金を定期的に受け取りたいなら、選択肢はVYM本体か、四半期決算型の投信です。SBI・V・米国高配当株式にも年4回決算型(分配重視型)が用意されています。名前が似ているので、買う前に必ず決算回数を確認してください。ここは私自身、調べていて一番「危ないな」と思った部分です。
VYMの過去リターンとリスク
バンガード公式の月末基準(2026年8月31日時点・NAVベース)では、1年+20.68%、3年(年率)+18.25%、5年(年率)+11.98%、10年(年率)+11.78%、設定来(年率)+9.44%。売買回転率は11.30%と低く、指数との乖離もほぼありません。
ただし、この直近1年の20%超という数字を「高配当ETFの実力」と受け取るのは危険です。首位のブロードコムが大きく上昇した効果が入っており、次の1年に同じことが起きる保証はありません。高配当ETFは配当を受け取りながら、値上がりは市場平均より控えめというのが本来の性格で、実際にS&P500やVTIと並べると期間によって負けます。この比較はVTIとVYMの違いは?にまとめています。
同じ高配当でも設計思想が違うETFとの比較なら、銘柄を厳選するSCHDとのVYM vs SCHD、増配実績で選ぶVIGとのVIG vs VYMが参考になります。高配当ETF全体の地図は高配当ETF比較まとめにあります。
私ならどう考えるか(正直な話)
ここからは公式データではなく、私個人の意見です。私は現在VYMを保有しておらず、米国株の中心はVTIと個別株、それとAIに任せた自動売買の検証です。そのうえで正直に書くと、VYMは「配当をもらうために持つ」というより「値動きが穏やかな米国株の詰め合わせとして持つ」ほうが納得しやすいETFだと感じました。
理由は利回りです。30日SEC利回り2.20%で特定口座なら手取りは1.6%前後。100万円で年1.6万円弱です。この金額のために為替リスクと株価下落リスクを取ると考えると、「高配当だから安心」という言い方はあまり実態に合っていません。一方で604銘柄・経費率0.04%という分散とコストは素直に強く、値動きの荒さに耐えられない時期の受け皿としては合理的だと思います。
私が初心者だったころ、配当が振り込まれる通知がうれしくて、そのために利回りだけで銘柄を選んだ時期がありました。結果として値下がりで配当以上に損をしています。利回りは選ぶ理由の1つでしかないというのは、私が実際に授業料を払って学んだことです。
よくある質問
Q. VYMの利回りはどれくらいですか?
30日SEC利回りで2.20%、分配金ベースで2.29%です(いずれもバンガード公式・2026年7〜8月時点)。他のETFと比べるときは、どちらの定義かをそろえてください。利回りは株価が動けば変わります。
Q. VYMは新NISAで買えますか?
買えます。VYMは四半期分配のETFで、成長投資枠から除外される毎月分配型には当たりません。主要ネット証券の成長投資枠で買付できますが、取扱いは証券会社ごとに異なるため、最新の対象商品一覧でご確認ください。制度全体の考え方は新NISAで米国ETFは買える?にまとめています。
Q. VYMとVTI、初心者はどちらから始めるべきですか?
「資産をできるだけ増やしたい」ならVTIなど市場全体型、「値動きを抑えて配当を受け取りたい」ならVYM、という分け方が実務的です。判断の分かれ目は、配当という形での現金収入が自分にとって必要かどうかです。
Q. 円建ての投信版とVYM本体、どちらがいいですか?
分配金を受け取りたいならVYM本体か四半期決算型の投信、手間なく積み立てたいなら円建て投信です。ただし楽天・VYMは設定来の分配金が0円なので、配当目的で買うと期待と違う結果になります。コストは本体0.04%に対し投信は0.12〜0.17%程度で、差は年0.1%前後です。
Q. VYMの分配金はいつもらえますか?
年4回(四半期ごと)です。権利落ち日や支払日は毎回変わるため、バンガード公式の分配金ページで確認してください。円建て投信は商品ごとに決算月が異なります。
まとめ
- VYMは米国の高配当株604銘柄に投資するETF。経費率0.04%、30日SEC利回り2.20%、分配は年4回(バンガード公式・2026年7〜8月時点)
- 1位はブロードコムで7.34%、テクノロジーが13.95%。「地味な高配当株の集まり」というイメージとは実態が違う
- 100万円分の分配金は税引前で年約22,000円、特定口座なら約15,800円。新NISAでも米国側の10%は引かれる
- 円建て投信版は決算回数が商品ごとに違い、楽天・VYMは設定来の分配金が0円。配当目的なら要注意
- コストと分散は文句なし。ただし利回り2.2%を「高配当だから安心」と読み替えないこと
私は今のところVYMを買っていませんが、それは「悪いETFだから」ではなく、自分の運用の中心が値上がり狙いにあるからです。同じ数字を見ても結論は人によって変わります。この記事の数字が、その判断材料になればうれしいです。
免責事項
本記事は情報提供を目的としたもので、特定の銘柄・商品の購入や売却を推奨するものではありません。株式・ETF・投資信託への投資には価格変動リスクがあり、元本割れの可能性があります。本文中の経費率・分配金利回り・構成銘柄・分配頻度などの数値は2026年9月時点のもので、市況や商品性の変更によって変動します。最新の情報は、Vanguard・楽天投信投資顧問・SBIアセットマネジメント等の各運用会社および各証券会社の公式情報、ならびに金融庁・国税庁の公表資料でご確認ください。税制の取り扱い(外国税額控除・確定申告の有利不利など)はご自身の状況によって結論が変わります。個別の税務相談は税理士等の専門家にご相談ください。投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。

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