VIGとVYMの違いは?増配と高配当どっち

VIGとVYMの違いを解説する記事のアイキャッチ画像 銘柄・ETFガイド

VIGとVYMの違いは、ひとことで言うと「配当を増やし続けている会社」を集めるか、「いま利回りが高い会社」を集めるかです。経費率はどちらも0.04%で同じですが、分配金利回りはVIGが約1.5%、VYMが約2.2%。中身も別物で、VIGは情報技術セクターが26.3%で最大、VYMは金融が20.6%で最大です(いずれもバンガード公式ファクトシート・2026年6月30日時点)。

この記事を書いた人|ひざき

米国株をメインに資産運用中。AIと一緒に自動売買システムを自作し、ペーパー口座での売買実績を毎週そのまま公開しています。自分の資産額も毎週公開中。新NISAは毎年満額まで使っています。専門家ではなく、いま実際に手を動かしている個人投資家の目線で書いています。→ プロフィール

※VIG・VYMはどちらも筆者は保有していません。以下は運用会社(バンガード)の公式情報にもとづく整理で、「使ってみてどうだったか」の実体験ではありません。

はじめに

高配当ETFを調べていると、VYMのとなりにかならずVIGが出てきます。どちらもバンガード、名前も似ていて、経費率まで同じ0.04%。「じゃあ利回りが高いVYMでいいのでは?」と思った方に向けて書いています。

結論から言うと、この2本は「高配当ETFの色違い」ではなく、設計思想がまったく別のETFです。それどころか、VIGの指数は利回りが高い銘柄をわざと除外しています。数字を並べると、多くの人がイメージしている姿ともだいぶ違いました。この記事では、バンガードの公式ファクトシート(2026年6月30日時点)の数字だけを使って違いを整理し、100万円あたりの分配金シミュレーション、日本で買う方法、最後に私自身がどう考えるかまで正直に書きます。

VIGとVYMの違いを比較した図解。選定基準・銘柄数・セクター・利回り・10年リターンの差を示す

VIGとVYMの基本スペック比較

まず全体像です。数値はすべてバンガード公式のVIGファクトシートおよびVYMファクトシート(いずれも2026年6月30日時点)から取っています。

項目 VIG VYM
通称 米国増配株式ETF 米国高配当株式ETF
連動指数 S&P U.S. Dividend Growers Index FTSE High Dividend Yield Index
経費率 0.04% 0.04%
銘柄数 332 605
ETF純資産 約1,101億ドル 約790億ドル
分配回数 年4回 年4回
設定日 2006年4月21日 2006年11月10日
分配金利回り 約1.5% 約2.2%
PER(株価収益率) 26.6倍 21.6倍
標準偏差(値動きの大きさ) 10.68% 11.18%
経費率・銘柄数・純資産・PER・標準偏差の出典:バンガード公式ファクトシート(2026年6月30日時点)。利回りは30日SEC利回りベースの概算で、VIGは1.59%(バンガード公式・2026年4月30日時点)、VYMは約2.2%(2026年8月時点の市場データ参考値)です。利回りは計算方法と時点で変わりますので、実数は必ず公式でご確認ください。

経費率が同じで、分配回数も同じ。ここだけ見ると「利回りが高いVYMのほうがお得」で話が終わってしまいます。でも本当の違いは、この下にあります。

違い1:VIGは「高利回りの銘柄」をわざと外している

VIGが連動するS&P U.S. Dividend Growers Indexは、10年以上連続で1株あたり配当を増やしてきた企業を対象にします。つまり「いくら配っているか」ではなく「増やし続けられているか」で選ぶ指数です。

そして私がこの記事を書いていて一番おどろいたのが、この指数には「利回りが高い上位25%の銘柄を除外する」というルールがあることでした(S&Pダウ・ジョーンズ・インデックス公式のメソドロジーより)。利回りが異常に高い銘柄は、株価が大きく下がった結果そうなっている「バリュートラップ」であることが多いため、あらかじめ外しておくという設計です。

一方VYMが連動するFTSE High Dividend Yield Indexは、予想配当利回りが高い順に採用する指数です(REITは除外)。今の利回りがものさしなので、株価が下がって利回りが上がった会社も入ってきます。

つまりこの2本は「似た母集団から、違う切り口で選んでいる」のではありません。VIGが意図的に捨てている領域を、VYMが拾いにいっているという関係です。ここを知ってから見ると、あとの数字がぜんぶ腑に落ちます。

違い2:中身のセクターが別物。VIGは実は「ハイテク寄り」

順位 VIG VYM
1位 情報技術 26.3% 金融 20.6%
2位 金融 20.7% テクノロジー 14.6%
3位 ヘルスケア 17.7% 資本財 14.4%
4位 資本財 12.0% ヘルスケア 12.4%
5位 生活必需品 9.3% 生活必需品 8.5%
エネルギー 2.9% 8.5%
公益 3.0% 6.0%
通信サービス 0.0% 4.0%
出典:バンガード公式ファクトシート(2026年6月30日時点)。VIGはGICS、VYMはICBと分類基準が異なるため、業種名と数値は厳密には一対一で比較できません。傾向をつかむ目安としてご覧ください。

「増配株ETF」と聞くと、生活必需品や公益といった地味でディフェンシブな会社が並んでいるイメージを持ちませんか。私はそう思っていました。でもVIGの最大セクターは情報技術で26.3%。しかもエネルギーは2.9%、通信サービスと不動産はゼロです。高利回り銘柄を外した結果、エネルギーや公益といった「利回りは高いが成長は緩やか」な業種が薄くなっているわけです。

上位銘柄を見るとさらにはっきりします。

順位 VIG VYM
1位 ブロードコム 4.5% ブロードコム 7.3%
2位 アップル 4.2% JPモルガン・チェース 3.4%
3位 イーライリリー 4.1% ジョンソン・エンド・ジョンソン 2.5%
4位 JPモルガン・チェース 3.6% エクソンモービル 2.4%
5位 マイクロソフト 3.5% キャタピラー 2.0%
上位10銘柄の合計 31.9% 25.9%
出典:バンガード公式ファクトシート(2026年6月30日時点)

VIGの上位にはアップルとマイクロソフトが入っています。増配株ETFというより、「配当を出している大型株のうち、成長が続いている側」を集めたETFと言ったほうが実態に近いと思います。PERが26.6倍とVYMの21.6倍より高いのも、これで説明がつきます。

そしてもう一つ。VYMは605銘柄と分散されているのに、1位のブロードコムだけで7.3%を占めています。銘柄数が多い=分散が効いている、と単純には言えないわけです。ここは表を見るまで私も気づきませんでした。

違い3:リターンは期間によって逆転する

「増配株のほうが長期では強い」とよく言われますが、実際の数字を並べると単純ではありません。

期間 VIG VYM
1年 17.53% 21.52%
3年(年率) 15.41% 17.44%
5年(年率) 10.90% 11.78%
10年(年率) 13.13% 11.61%
設定来(年率) 10.18% 9.33%
基準価額(NAV)ベースのトータルリターン。出典:バンガード公式ファクトシート(2026年6月30日時点)。過去の実績であり、将来の成績を保証するものではありません。

直近1年から5年まではVYMが上、10年と設定来ではVIGが上。きれいに逆転しています。

ここから「どちらが優れている」という結論を出すのは危ないと思っています。5年と10年で順位が入れ替わるということは、比較を始めた時期を1〜2年ずらすだけで結論がひっくり返るということだからです。ネット上で「VIGのほうが優秀」「いやVYMだ」と意見が割れるのは、たぶん見ている期間が違うだけです。

100万円あたりの分配金シミュレーション

利回りの差が実際いくらになるのか、100万円を投じた場合で計算してみます。米国ETFの分配金は、まず米国で10%が引かれ、そのあと日本で20.315%が課税されます(外国税額控除を使わない場合)。

口座 VIG(利回り約1.5%) VYM(利回り約2.2%)
税引前 15,000円 22,000円
特定口座(米10%+日20.315%) 約10,800円 約15,800円
新NISA成長投資枠(米10%のみ) 約13,500円 約19,800円
100万円あたりの年間分配金の概算(筆者試算)。利回りは2026年8月時点の参考値をもとにした想定で、実際の分配金額を保証するものではありません。為替は考慮していません。

差は特定口座で年5,000円ほど。100万円に対して0.5%程度です。この金額をどう見るかは人によりますが、「利回りが約1.5倍あるから受取額も約1.5倍」という単純な話であって、その差のために業種構成がまるごと変わることのほうが影響は大きいというのが私の受け止めです。分配金の税金のしくみは米国ETFの分配金の税金と二重課税の記事で詳しく書いています。

日本で買うなら(円建て投信版もあります)

米国ETFをドルで直接買うほかに、日本の投資信託を通じて円のまま買う方法もあります。VIG・VYMのどちらにも円建ての投信版が用意されています。

連動先 ファンド名 運用会社
VIG SBI・V・米国増配株式インデックス・ファンド(年4回決算型もあり) SBIアセットマネジメント
VYM SBI・V・米国高配当株式インデックス・ファンド(年4回決算型もあり) SBIアセットマネジメント
VYM 楽天・米国高配当株式インデックス・ファンド(楽天・VYM)/楽天・高配当株式・米国VYMファンド(四半期決算型) 楽天投信投資顧問
出典:SBIアセットマネジメント公式楽天投信投資顧問公式(いずれも2026年8月時点)

たとえばSBI・V・米国増配株式インデックス・ファンド(設定日2023年6月8日)は、購入時手数料・信託財産留保額ともになし。信託報酬は年0.0638%で、投資先であるVIG側の費用を加えた実質的な負担は年0.1238%程度とされています(SBIアセットマネジメント公式・2026年8月時点)。

ETFの経費率0.04%と比べると約3倍ですが、円のまま買えて自動積立ができ、分配金の再投資も手間がかかりません。「0.08%ちょっとの差」を手間の対価として払うかどうか、という選択です。私はここは正直、金額よりも続けやすさで決めていい部分だと思っています。なお取扱いは証券会社によって異なり、費用も変更されることがあるので、必ず最新の目論見書と取扱一覧を確認してください。

私ならどちらを選ぶか(本音)

ここからは完全に私個人の考えです。冒頭に書いたとおり、私はVIGもVYMも保有していません。持っているのはVTIとSPYDです。

そのうえで正直に言うと、私が今から買うならVIGは選びません。理由は単純で、上位にアップル・マイクロソフト・ブロードコムが並ぶVIGは、すでに持っているVTI(米国株式市場まるごと)と中身がかなり重なるからです。わざわざ経費を払って似たものを2本持つ意味が、自分の資産構成では見つけられませんでした。

逆に、VTIのような時価総額加重のインデックスをまだ持っていなくて、これから1本目を選ぶという人なら、VIGは十分に候補になると思います。値動きの大きさ(標準偏差)はVIG 10.68%に対しVYM 11.18%で、わずかにVIGのほうが小さい。増配を続けている会社に絞り、高利回りの銘柄を外すことで、多少ですが安定側に寄っているのは事実です。

VYMのほうは、私にとってはVYMとSCHDの比較や、いま持っているSPYDとの比較のほうが現実的な検討になります。「増配か高配当か」という軸で悩む前に、自分がすでに持っているものと何が重なるかを先に確認したほうが早い、というのが私の結論です。

高配当ETF全体の位置づけは高配当ETF比較まとめに整理しています。VTIとの関係が気になる方はVTIとVYMの比較もどうぞ。

よくある質問

Q. VIGとVYM、初心者はどっちから始めればいい?

受け取る分配金を実感したいならVYM、値上がりも含めた総額を優先するならVIG、という分け方が現実的です。判断の分かれ目は「すでにS&P500やVTIなど米国株全体のインデックスを持っているか」。持っているならVIGは中身が重なりやすいので、VYMのほうが分散の追加になります。

Q. VIGとVYMは新NISAで買える?

どちらも米国ETFなので、新NISAの成長投資枠を使える証券会社であれば買付できるのが一般的です。円建ての投信版(SBI・V・米国増配株式/米国高配当株式、楽天・VYMなど)も新NISAの成長投資枠で使えるものがあります。ただし取扱商品は証券会社ごとに異なり、制度上の対象も変わりうるため、必ずご利用の証券会社の最新の取扱一覧で確認してください。なお新NISAでも米国側の10%課税は引かれます。

Q. 両方持つのはアリ?

アリですが、重なりは意識したほうがいいです。両方の1位はどちらもブロードコムで、JPモルガン・チェースも両方の上位5社に入っています。2本持てば2倍分散される、という話ではありません。

Q. VIGは増配株ETFなのに、なぜハイテク比率が高いの?

選定基準が「業種」ではなく「10年以上の連続増配」で、しかも利回り上位25%を除外するからです。アップルやブロードコムのように、成長しながら配当も増やしてきた会社が条件を満たして入る一方、利回りの高いエネルギーや公益は外れやすくなります。その結果、情報技術が26.3%(バンガード公式・2026年6月30日時点)で最大セクターになっています。

Q. 利回りが高いVYMのほうが得ではないの?

分配金だけを見ればVYMが多く受け取れます。ただし分配金には課税されるため、そのぶん複利が効きにくくなる面もあります。10年リターンではVIG 13.13%、VYM 11.61%とVIGが上でした(2026年6月30日時点)。「受け取る額」と「増える額」は別の話だと考えたほうが混乱しません。

まとめ

  • VIGは「10年以上増配した会社」を集め、さらに利回り上位25%を除外する。VYMは「今の利回りが高い会社」を集める。経費率はどちらも0.04%
  • VIGの最大セクターは情報技術26.3%で、上位にアップル・マイクロソフトが並ぶ。イメージよりずっと成長株寄り
  • VYMは605銘柄と多いが、1位のブロードコムだけで7.3%と集中している
  • リターンは1〜5年ではVYM、10年と設定来ではVIGが上。比較する期間で結論が変わる
  • 100万円あたりの年間分配金は税引前でVIG約1.5万円、VYM約2.2万円(想定)
  • どちらも円建ての投信版があり、SBI・V・米国増配株式の実質負担は年0.1238%程度
  • 迷ったら「自分がすでに持っているものと何が重なるか」から確認するのが早い

数字はすべて公式資料から取りましたが、これらは時点の値です。実際に買う前には必ずご自身で最新の数値を確認してください。米国株のはじめ方は米国株の始め方ロードマップにまとめています。

筆者について|ひざき

米国株をメインに資産運用している個人投資家です。AIと一緒に自動売買システムを自作し、ペーパー口座での売買実績と自分の資産額を毎週公開しています。金融の専門家ではありません。→ プロフィール

免責事項

本記事は情報提供を目的としたもので、特定の銘柄・商品の購入や売却を推奨するものではありません。株式・ETF・投資信託への投資には価格変動リスクがあり、元本割れの可能性があります。本文中の経費率・信託報酬・分配金利回り・構成銘柄・セクター比率・リターンなどの数値は2026年8月時点(ファクトシートの基準日は2026年6月30日)のもので、市況や商品性の変更によって変動します。最新の情報は、Vanguard(バンガード)・SBIアセットマネジメント・楽天投信投資顧問等の各運用会社および各証券会社の公式情報、ならびに金融庁・国税庁の公表資料でご確認ください。税制の取り扱い(外国税額控除・確定申告の有利不利など)はご自身の状況によって結論が変わります。個別の税務相談は税理士等の専門家にご相談ください。投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。

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